#682 LG4-SL

多い数ではないものの、優れた製作家と評される人物は世界中にいますが、人間だれしもがそうであるように、 製作工程の全ての分野において完璧なことは稀であり、それぞれの突出した個性と才能がその他の要素を牽引し、素晴らしい楽器足らしめているというのが実情だと思います。

もちろんその才能は一つにとどまらず、これも人間だからこそではありますが、それぞれに連携をみることができます。

Jimmy Coppoloという人物に関して評するならば、これほどの楽器を、ぶれること無く数多く世に送り出している為、それは多岐にわたるのですが、中でも突出しているのが、取捨選択のセンスだと思います。

現代の楽器製作家としては、多弦楽器、特に完全に市民権を得ている5弦のそ需要に応える必要がありますが、彼の場合は、4弦と5弦における需要を的確に見抜き、実践的なプレイヤーが必要とするものを最良の形で盛り込んでおり、それがAlleva-Coppoloというブランドの評価を決定的なものとしている主たる理由でしょう。

NYで培った叩き上げの強さのある努力する天賦の才、という言葉がこれほどふさわしい人間も珍しいでしょう。

NECK 1pc. Hardrock Maple
FINGERBOARD Rosewood
BODY Alder
COLOR Sonic Blue (Lacquer)
PICKUPS Alleva-Coppolo Homemade
PREAMP Alleva-Coppolo Homemade

#689 NF5-PB

2009 Winter NAMMで登場したNF5の1本目です。

Alleva-Coppoloに良質の材料がふんだんに使用されていることは周知の事実になっていますが、このNF5は、通常のモデルではサイズの問題があって使用できなかった材を組み合わせて製作されています(その為FInishは、Blackの一色のみです)。

NF = No Frills、つまりオプションなどの選択肢がなく、また、Jimmyが作れるときにしか作らない為、価格がかなり抑えられており、いわゆる廉価版との位置付けになりますが、このスタイルの楽器にありがちな、海外におけるOEMなどの手法を用いず、NeckやBodyに使用される材料はもちろん製作手法、そしてなにより製作を行っているのがJimmy Coppolo本人ということは、非常に大きいことであり、純粋にハードウェアやプリアンプでコストを抑える方向で製作されるだけという、新しい方法によって製作されています。

これは自身の名を冠している以上、製作者としてあるべき責任の所在を明確にするというJimmy流の市場への問いかけだと言えます。
もちろん需要が供給を上回っている場合、 海外などで安く、そして数多く生産する、という方法はビジネスの手法としては、間違ったものではなく、批判の対象となるべきものではありません。

しかし、Jimmy Coppoloは、楽器製作家として自身の道を歩んでいます。

レギュラーラインとの線引きを行っているものの、それらのレベルがあまりにも高すぎる為、エッセンスが凝縮された全く申し分のないクオリティを持ち、また、サウンドキャラクターや、トーンなどは、Jimmyが製作しているのですから当たり前ですが、全く同等のものと言えます。

低価格帯のモデルを市場に送り出すことで、レギュラーのラインの存在意義が薄れてしまうメーカーも少なからずありますが、Jimmyの手法は、彼の楽器同様、顧客への完璧な説明責任を果たしているものと評価できますし、楽器自体のクオリティがその全ての理由となっています。

NECK 1pc. Hardrock Maple
FINGERBOARD Maple
BODY Ash
COLOR Piano Black (Poly)
PICKUPS Alleva-Coppolo Homemade
PREAMP Aguilar OBP-3

#731 LG5C-SB

Alleva-CoppoloにおけるFinishの違いに関するご質問を良くいただきますが、Lacquerはトーンにふくよかさが、Polyでは、少しブライトであり、よりストレートに伸びる傾向の音を持っています。

より安定した音のヌケという点では、相対的に後者が優れていますが、独特の温かい質感や手触りなど、1960年代に行われていたLacquer Finishそのものの感覚には、中々抗し難い 魅力があります。

Alleva-Coppoloの最大の魅力は、再生環境に左右されず、良く知られているトーンに、いつも変わらずに、その良さを凝縮したエッセンスを盛り込むことができることであり、それは大きい会場や、聴こえるべきベースラインが、単なる低域に成り代わってしますような環境であればある程その強さを発揮するという点です。

生音でのチェックの時はもちろん、アンプから出てくる一つ一つの音が、強烈というよりも猛烈と表現した方が適切であろう、活きているトーンであり、また弾いていて最初から親しみを覚えますが、5分も触っていれば、自分の音楽人生の大半を一緒に過ごしてきたかのような錯覚を覚える楽器です。

 

#748 LG4D-DB

個人的に最も好みの色であるDaphne Blueが、非常にかわいらしくもあり、美しくもあります。

Jazz Bass Styleは、業界のスタンダードの一つであり、無数に溢れていますが、Jimmyの製作するStandard 4は、本家を凌駕していると確信させてくれる楽器であり、他を寄せ付けない圧倒的な存在感を放っています。

たくさんあるメーカーのどこもが、より良い楽器を作ろうとしていることは間違いありませんが、価格の際も含んだ結果が全てであり、形になって店頭に並んでいる以上は、弾き手にとって、それらの過程は意味のないものとなります。

Alleva-Coppoloという楽器が、どういう場面や環境、そして音楽に対しても、常に正々堂々とした揺るぎない立ち位置を確立できるのは、Jimmy Coppoloという製作家はそのことを強烈に理解している製作家であるからでしょう。

完成度が高すぎることで、失われるものがあるという意見があり、それは決して的外れではないのですが、ちょっとした遊び心との共存により、弾き手が一生つきあえる、またアイデンティティーの確立に貢献してくれるという好例がこのAlleva-Coppoloです。

NECK 1pc. Hardrock Maple
FINGERBOARD Indian Rosewood
BODY Alder
COLOR Daphne Blue (Poly)
PICKUPS Alleva-Coppolo Homemade
PREAMP Alleva-Coppolo Homemade

#730 LG5D-SL

Alleva-CoppoloのLow-Bの響き方は、それを指置きではなく、音楽の中で躊躇無く、アンサンブルのエッセンスとし得る、非常に強力なものです。

多弦ベースの低音弦の再生に関しては、最近では再生環境やPickupのクオリティの向上により、及第点を与えることのできる、ストレスを感じるものが少なくなっているのは事実ですが、例えばKen Smithや、Dingwall、そしてこのAlleva-Coppoloのそれを知っている限りではまだまだというものが大半ということになってしまいます。

このLG5Dは、弾き手がアンサンブルにおいて、表現したい心情や、ちょっとした遊び心など、弾き手の望む全ての表現に対して最も素直である楽器であり、ベースの音が聴こえるというあるべき状態を、常に当たり前にします。

Alleva-Coppoloは、Ken Smithがそうであるように、弾き手の実力に見合った正当な評価を与えてくれる楽器でありながら、ベースのトーンは強すぎること無く、音楽を決して殺してしまうことの無い、希有な存在であります。

NECK 1pc. Hardrock Maple
FINGERBOARD Indian Rosewood
BODY Alder
COLOR Sonic Blue (Poly)
PICKUPS Alleva-Coppolo Homemade
PREAMP Alleva-Coppolo Homemade

#728 LG4D-OW

4弦のこのスタイルの楽器を選ぶ場合には、オリジナルでも良いのではないかというものがあり、そこには大きな理由が必要になると思います。

Jimmyの製作するこのStandard 4は、弦を弾いた時の、強烈な跳ね返りがあるものの、そこに決っしてストレスや、弾き難さがあるのではなく、楽器を弾いていることを実感させる”感覚”を弾き手に与えます。

これはもちろん良い材を使用しているということもありますが、それだけでなく、組み立て方、フレッティング、ネックの製法や、オリジナルのPickupやPreampを製作しているということだけでなく、弦の張り方までに至る、楽器に備わる全ての要素に対し、Jimmy Coppoloが、見通しを利かせることのできる卓越した製作家であるからでしょう。

NECK 1pc. Hardrock Maple
FINGERBOARD Indian Rosewood
BODY Alder
COLOR Olympic White (Poly)
PICKUPS Alleva-Coppolo Homemade
PREAMP Alleva-Coppolo Homemade

#684 LM5-RW

美しいTransparent Whiteと手作業で丁寧に施されたBlock Inlayが唯一無二の雰囲気を醸し出しています。

Ashは、重量が音色に確実に影響を与える材料ですが、その特性を最大限に活かした、70年代当時からすでに存在していたかのような、堂々とした存在感をこのLM5は誇っています。

紡ぎだされる全ての音はもちろん、フレットノイズまで、随所に力強さとベースらしさがあり、見た目から想像できる、人々が求める要素がきっちりと備わっている、中途半端とは無縁の楽器です。

70年代の楽器は、最近再び需要が高まっていますが、それに対して真似ではなく、申し分のない本物で応えることができるのが、このLM5です。

単に重めのAshを使用しただけでは決してこういう結果にはならない、良い材ならではの安定感をもったブレイクしたサウンドに溢れています。

狙いすました一点に全神経を集中して製作された楽器ですので、文句のつけることは難しいのですが、一つだけ無理矢理あげるとすれば、あまりにも”それらしすぎる”ということでしょうか。

NECK 1pc. Hardrock Maple
FINGERBOARD Maple
BODY Ash
COLOR Transparent White (Poly)
PICKUPS Alleva-Coppolo Homemade
PREAMP Alleva-Coppolo Homemade

#707 KBP4C-PB

他の追随を許さない、Vintage楽器に肉薄した完成度を持つというよりも、もはやそのものであると言った方が適切であろうKBP4 Classicです。

古い楽器には、量産体制に於ける不備によって生じた独特の甘さがありますが、これを現代の楽器でそのまま再現しようとすると、価格とクオリティに大きな破綻をもたらし、それ故の難しさというものは、決して一言では語ることのできないものです。

Jimmyは、自身のNYでの長いショップ経験における豊富な経験と、鋭い嗅覚によって、その卓越したセンスに磨きをかけた製作家ですが、彼の素晴らしさは、例えばフレッティングの方法一つに関しても、複数の方法論を実践し得るだけの技術があり、それは、ネックの仕込み方、指板の張り方などでも同じように、常に取捨選択を可能にしているということです。

KBP4は、シンプルな構造を持っていますが、Jimmy Coppoloは、そこに広大な奥深さをさらりと与えています。

NECK 1pc. Hardrock Maple
FINGERBOARD Rosewood
BODY Alder
COLOR Piano Black (Lacquer)
PICKUPS Alleva-Coppolo Homemade

#708 KBP4C-OW

その物理的な大きさを無視したかのような、Mojoのある楽器であり、例えばトーンを絞ったとき等に、その存在のありがたさを強烈に感じます。

Vintage楽器を模すということでは、当時の技術や製法をそのまま導入すれば良いのかもしれませんが、現実的な問題として、価格とクオリティのバランスの維持が難しくなり、ともすれば、量産の低価格帯の楽器と何ら変わらないもものとなってしまいます。

Jimmy Coppoloという製作家の知識は膨大であり、領域外である、量産楽器に適するネックの製作方法はもちろん、非フェンダースタイルの楽器に於ける最適な方法など様々なものに精通しており、その広い見聞の中で見いだしたベストな手法を自身の楽器に持ち込んでいます。

例えば、Ken SmithやGeorge Furlanetto、Harvey Citronなどの大ベテランは勿論、若手の白眉であるCarey Nordstrandなども共通した認識として持っているものですが、若手製作家が数多く出現している昨今では、Jimmy Coppoloのそれはより突出したものとして私の眼には映ります。

良い楽器の製作には、機材や材料、知識と経験など様々なものの、そのどれもが必要不可欠となりますが、製法や構造だけではなく、ピックアップ、塗装など、その全てにおいて分かっている製作家によって世に送り出されている楽器が、Alleva-Coppoloです。

NECK 1pc. Hardrock Maple
FINGERBOARD Rosewood
BODY Alder
COLOR Aged Olympic White (Lacquer)
PICKUPS Alleva-Coppolo Homemade

#709 LG5S-IE

1960年代に、Leo Fender氏と一緒に働いてたスタッフが、当時のそのままの機材を使って施された塗装は、色合いはもちろん、得難い温かみに溢れた柔らかく、所有感を満たしてくれる、弾いている楽しさを感じさせてくれる雰囲気があります。

Jimmyの製作する楽器は、一見、数多く流通している多くと同じスタイルを持っているように見えますが、指板や仕込み角度などを注意深く見ていきますと、いかにVintageに精通しているか、また、それをどのようにして自らの楽器の不可欠な要素として盛り込んでいるかに驚かさせられることが少なくなく、それは、全て最終的に導きだされる、多くの弾き手と聴き手を説得する力を持つトーンという結果を音楽にもたらしています。

アメリカは、コピーにはそれほど良い評価を与えることはなく、オリジナルであることこそに意味があり、良しとしている風潮がありますが、その中において、ここまで高く評価されているのは、定型のフォーマットや概念を打ち破り、あるべき姿を楽器を通して示して要るからではないでしょうか。

NECK 1pc. Hardrock Maple
FINGERBOARD Rosewood
BODY Alder
COLOR Ice Blue Metalic (Lacquer)
PICKUPS Alleva-Coppolo Homemade
PREAMP Alleva-Coppolo Homemade