#622 SL53-WH

杞憂という言葉ほど、この楽器にふさわしい表現は無いでしょう。

33″スケールということで、弾き易さは向上しますが、それに反してLow-B弦の音程の不明瞭やパンチの欠落などが心配されますが、仮にこの楽器のサウンドが35″だと言われても多くの人は、一切の疑いを持たないでしょう。

それほどまでに強力なB弦を持ち、バランスのとれた楽器として仕上がっているのも、Chris Benaventeが、Body、および加工を全面的に請け負っているからに他なりません。

BenaventeのPreampの素晴らしさは、徐々に知られるところとなっていますが、例えばBass EQをフルブーストしたとしても、やり過ぎには決してならず、常に楽器が音楽的であるように的確にサポートをしてくれるものとなっています。

ローアクションを好み、3、4フィンガースタイルの弾き手に特化した楽器というコンセプトを持ち設計されたこのSL53 Seriesですが、そのポテンシャルの高さは、案外スタイルの限定を望ましいものとしていないようにすら感じます。

きらびやかで艶があり、力強いベースらしさにも事欠かない楽器です。

NECK 3pc. Hardrock Maple (Bolt-on)
FINGERBOARD Rosewood
BODY Walnut Top & Mahogany Back
FINISH Polyurethane
PICKUPS Benavente Wide & Wide
PREAMP Benavente Original 3 Band EQ

#610 SCD5KCF-SI

SatinwoodとSwiss Pearの統一感のあるコンビネーションを非常に美しく感じます。

既存のフレットレスベースのサウンドを全て網羅しているのではないかと思える程ヴァリエーションに富んだ多彩なサウンドを持っていますが、その大きな理由の一つはPiezo Bridgeの存在です。

当初、この楽器は2つのMagnetic Pickupのみを搭載することでオーダーされていましたが、完成間近になり、ChrisからPiezoのオプションの追加を打診されました。

実際に出来上がった楽器をチェックしてみると、Chrisの判断はこれ以上無く正確に的を射ており、Neck、およびBridge Pickupの組み合わせによるトーンは、あまりピンとこないものの、ある意味F Bass的な使い方ではありますが、それぞれのピックアップを独立して使用し、そこにPiezoを足していくことにより”これだっ!”と思わせてくれる絶妙なサウンドを幾重にも渡って生み出してくれます。

Neck PickupとPiezoでは、 十分な低域を持つナチュラルで、見た目から想像される通りのサウンドを、Bridge PickupとPiezo Pickupの組み合わせでは、程よい緊張感のある、それでいて広がりのあるオーガニックなキャラクターを特徴的に備えた音を生み出し、そこにPreampが絶妙の調味料として機能しているように感じます。

ボディ、およびウェイトバランスも秀逸であり、他のBenaventeがそうであるように、手で支えること無く、膝の上できちんと止まってくれる、コントロールが多いだけで意味の無い楽器とは次元の異なる、それぞれが大きな意味を持つことで確実な結果を生み出す楽器です。

NECK 5pc. Hardrock Maple (Set-Neck)
FINGERBOARD Swiss Pear
BODY Satinwood Top & Korena Back
FINISH Benavente Custom Semi Gloss
PICKUPS Benavente Narrow & Narrow with Custom Piezo Pickup
PREAMP Benavente Original 3 Band EQ

#675 SCD6KC-EI

Ebonyは、楽器用の材料として間違いなく最高峰のものであり、また、それゆえにポピュラーな 存在ですが、硬度があり、加工が難しい材の一つでもあります。

このSCD6は、チャンバーボディーを持っており、その見た目で判断できるように凝った作りになっていますが、工程の苦労を表出させず、スマートに織り込んでいるあたりにもBenaventeらしさがあります。

Piezo Pickupは取り付けられていませんが、金属的なぎらつきの無い、想起させる質感をトーンに持っているのは、このSCD6の持つ構造によるところが大きく、英語で言うところのBig Soundと表現される楽器になっています。

ふくよかで、余裕の感じられる音色は、散ってしまうことの無い低域を伴い、金属臭のないナチュラルなものであり、アンサンブルに溶け込む素晴らしい、音楽への一素材となっています。

NECK Wenge & Maple (B-Type (C))
FINGERBOARD Ebony
BODY Macassar Ebony Top & Back with Korena Core
FINISH Benavente Custom Semi Gloss
PICKUPS Benavente Wide & Wide
PREAMP Benavente Original 3 Band EQ

#702 SCD5K-MA

2009 Winter NAMMに展示されたSCD5Kです。

Hard Mapleの一種であるBirdseye Mapleは、材自体に重量があり、結果、楽器も総じて重くなる傾向にありますが、立奏時にも座奏時にも最適なものとなる、Benaventeを現在の地位にまで引き上げた大きな原動力の一つである、プレイアビリティの高さや、ボディバランスの良さがその点を上手くカバーしています。

良くある議論として、楽器は重たい方が良いのか、それとも軽い方が良いのか、というものがありますが、これは、重量が音質に与える影響の多少が材によって異なるのですから、一概に言い切れるものではありません。

Mapleは、Ashほど顕著ではありませんが、木目や種の違いによって生じる音色の差異は明確に存在しており、結果的に重量、起用法、ならびに材のクオリティが楽器の善し悪しに決定的な違いをもたらす材であると言えますが、このことを違った側面から考えると、重くても軽くても、正しい知識と経験さえあれば、欠点を長所へと成り代わらせ、最良の楽器を製作することが可能であるということです。

このSCD5Kには、Top材だけでなく、指板にもBirdseye Mapleが用いられていますが、それは見た目を理由としたものではなく、あくまで、狙った音があり、そこに辿り着く為の手段としていることが、楽器のトーンから感じることができます。

ミッドレンジを中心に直線的でブライトなトーンには、重心の低さがあり、アンサンブルにおいて気持ちのよい低域になる傾向があり、特に2000年代に入ってから流通している音楽で聴くことができるようになったベースサウンドとの共通点を数多く見いだすことができます。

複雑で視覚的な美しさを持つ構造の楽器ですが、そこには、現状にとどまらず、弾き手に何かを与え続けようとするChris Benaventeの姿勢を感じます。

NECK 13pc. Maple &Purpleheart
FINGERBOARD Birdseye Maple
BODY Birdseye Maple Top & Back with Ash Core
FINISH Benavente Custom Semi Gloss
PICKUPS Benavente Narrow & Narrow
PREAMP Benavente Original 3 Band EQ

#700 SL43-SB

触った瞬間に音が出る、アタックの速さに驚かさせられます。

BenaventeのHumbacking Pickupによる程よく高めのゲインを持ったトーンは、ベースという楽器自体の本質的な素晴らしさ、昔から存在し、廃れない理由を十二分に理解させるものとなっており、この構造を持つ古い楽器の魅力をも同時に感じさせます。

Standard Plusは、NeckとBodyの製作はChris Benavente本人が、フィニッシュに関しては日本国内で行うという形式をとっており、ある種Benaventeの特徴がデフォルメされた楽器であるとも言えますが、こういう形式になると、その大本にある楽器の優劣が如実に表れることが多々あり、そういう意味でもBenaventeはすでに一流の楽器メーカーへと変貌したことが分かります。

このSL43もBenaventeの持ち味の一つである、気取った感の無い、汎用性の高さに加えて、良質の楽器の雰囲気を十分に備えています。

NECK 3pc. Hardrock Maple (Bolt-on)
FINGERBOARD Rosewood
BODY Flame Maple Top & Alder Back
FINISH Polyurethane
PICKUPS Benavente Wide & Wide
PREAMP Benavente Original 3 Band EQ

#703 SL53-WH

スケールの短さは、トーンにパンチを加えますが、一方、ベースという楽器のみが持ち得る、特有のサウンドの美しさやきらびやかさに欠けることがあります。

このSL53は、音色とプレイアビリティの両立の成功例ですが、やはり33″スケールを導入するにあたり、十分な検証を行った結果であると言えます。

ローアクションは、基本的にはどの楽器も物理的に弦高を下げることで可能ですが、限界を超えるセットアップによる想定外の不具合や、楽器本来の持ち味の喪失を引き起こすことがあります

しかし、このSL53は、ローアクションでもしっかりと弦のトーンが楽器に伝わり、国産の楽器にありがちな弦だけが鳴ってしまうことが無いようなネックの作り方で設計・製作されています。

NECK 3pc. Hardrock Maple (Bolt-on)
FINGERBOARD Rosewood
BODY Walnut Top & Mahogany Back
FINISH Hand Rubbed Oil
PICKUPS Benavente Wide &Wide
PREAMP Benavente Original 3 Band EQ

#701 SL54-TG

Benaventeは、35″であると言われないと分からない程優れたプレイアビリティを誇る数少ない楽器ですが、その抜群の弾き易さを拡大解釈したかのような、34″のStandard Plusです。

Ash Top & Backは、Ken Smith Designや、Lowend Jazzなどで、その良さを十二分に発揮していますが、このSL54を弾いてみると、Bolt-onの楽器にとって、それは最良の組み合わせの一つであるということを強烈に感じます。

Solid Bodyとも、Top & Back構造の楽器にも存在し得ない独特な感覚は、AlderとAsh、両者の長所を兼ね備えたQuilted Mapleともまた異なり、オープンさと爆発力に加えて、面白みのある均質さとストレートさがあります。

このSL54には、特徴としての癖はありますが、それが変に偏ることもなく、音楽的に散在しており、ウルトラローアクションでも、高い弦高でも、個性と良さを随所にみることができます。

NECK 3pc. Hardrock Maple (Bolt-on)
FINGERBOARD Maple
BODY Swamp Ash Top & Back with Alder Core
FINISH Polyurethane
PICKUPS Benavente Narrow & Narrow
PREAMP Aguilar OBP-3

#704 SL53-WH

進化するベースプレイヤーの新しい弾き方に特化して対応したBenaventeのStandard Plusです。

楽器自体のセットアップも素晴らしく、弦高を低めに設定し、ストレスなく、3フィンガーや4フィンガー奏法を助けてくれる構造になっていますが、ストラップで楽器を吊るすこと無く、膝の上で自然に止まってくれる、秀逸なボディバランスを持っています。

ローアクションは、弾き易さと安定したピッチの獲得という観点では、非常に意味のあることですが、その反面音色が無機質なものになりやすく、自己満足の良さしか持ち得ないものになってしまう場合もありますが、これは設計や構造の問題であり、最初からそれを主眼としてコンセプトに織り込んでいるのであれば、全ての弾き手に好まれる楽器にはなりえませんが、その一方、独自のスタイルを追求しているプレイヤーにとっては心強い、欠かざるべき存在になります。

BenaventeのPreampもこの楽器に合わせたものとなっており、使い勝手の良さを強く感じます。

NECK 3pc. Hardrock Maple (Bolt-on)
FINGERBOARD Rosewood
BODY Walnut Top & Mahogany Back
FINISH Hand Rubbed Oil
PICKUPS Benavente Wide &Wide
PREAMP Benavente Original 3 Band EQ

#135 SCD4CF-TZ

New ModelのChamber Fretlessです。

ブリッジはもちろん、コントロールプレートまで全て木材を使用し自らの手で作りだしているという、徹底的なこだわりの感じられる、とても丁寧に製作された楽器です。

Benaventeについては、木工技術の高さに言及する必要は今更必要ないものですが、やはりここまでのこだわりが感じられる楽器も少ないと思います。

強く弾けばパンチのある、弱く弾けば繊細なトーンに確実に変化する、アコースティック楽器の良さをもちつつも、利便性や確実性の高いエレクトリックベースの利点を有効に活かしたものになっており、この種の楽器にありがちなアンサンブルで埋もれてしまうことの無いサウンドキャラクターを持っています。それゆえ、良質のAcoustic / Electric楽器と呼ぶに相応しいものです。

Chris Benavente一人が、他の誰の手も借りずに、最初から最後まで責任を持って製作に臨んだこともありますが、卓越した製作技術による完成度は、この楽器を信頼のおけるものにしています。

NECK 3pc. Hardrock Maple & Ebony (Bolt-on)
FINGERBOARD Gabon Ebony
BODY Figured Maple Top & Zebrawood Back
FINISH Benavente Custom Semi Gloss
PICKUPS Benavente – RMC Original Piezo
PREAMP Benavente Original

#463 SL55-ASB

奥底に存在する力のせいか、大きな余裕が感じられる楽器です。

独特の構造によって大変弾きやすく、”ガツン”とした鳴り、負担にならない適度な軽さ、低い弦高でも嫌なビビリや音詰まりの無い、ストレスとは無縁の楽器となっています。

いくつかのポイントをふまえなければ、実のところ構造上に問題を生じてしまう事のあるSingle Cut Styleは、デザインの秀逸性により今でこそ珍しくないものとなりましたが、このStandard Seriesは、アメリカの市場において、その名の通り(Single Cut Styleの)スタンダードとして高い評価と認知度を得るようになっています。中でもこのStandard Plusは、世界で最もシビアなマーケットである、日本市場でも十分に通用するさらなる”要素”が付加されたシリーズとなっています。

スラップのサウンドは突き抜けるような気持ち良さがあり、AshとMapleのコンビネーションの妙を感じる事ができる一方、軽く弾いても強めのタッチでもしっかりと楽器が応えてくれ、常に良いベースのサウンドを生み出す事のできる楽器です。

簡潔なコンセプトや、色のリクエスト等にも気軽に応える事ができる点等、Chrisの生み出したコンセプトの素晴らしさと多様性を強烈かつ、明快に理解できます。

(Standard+ Seriesは、米国でリリースされているStandard Seriesのアップグレードヴァージョンです。)

NECK 3pc. Hardrock Maple (Bolt-on)
FINGERBOARD Maple
BODY Swamp Ash Solid Body
FINISH Polyurethane
PICKUPS Benavente Original Wide
PREAMP Benavente 3 Band