#702 SCD5K-MA

2009 Winter NAMMに展示されたSCD5Kです。

Hard Mapleの一種であるBirdseye Mapleは、材自体に重量があり、結果、楽器も総じて重くなる傾向にありますが、立奏時にも座奏時にも最適なものとなる、Benaventeを現在の地位にまで引き上げた大きな原動力の一つである、プレイアビリティの高さや、ボディバランスの良さがその点を上手くカバーしています。

良くある議論として、楽器は重たい方が良いのか、それとも軽い方が良いのか、というものがありますが、これは、重量が音質に与える影響の多少が材によって異なるのですから、一概に言い切れるものではありません。

Mapleは、Ashほど顕著ではありませんが、木目や種の違いによって生じる音色の差異は明確に存在しており、結果的に重量、起用法、ならびに材のクオリティが楽器の善し悪しに決定的な違いをもたらす材であると言えますが、このことを違った側面から考えると、重くても軽くても、正しい知識と経験さえあれば、欠点を長所へと成り代わらせ、最良の楽器を製作することが可能であるということです。

このSCD5Kには、Top材だけでなく、指板にもBirdseye Mapleが用いられていますが、それは見た目を理由としたものではなく、あくまで、狙った音があり、そこに辿り着く為の手段としていることが、楽器のトーンから感じることができます。

ミッドレンジを中心に直線的でブライトなトーンには、重心の低さがあり、アンサンブルにおいて気持ちのよい低域になる傾向があり、特に2000年代に入ってから流通している音楽で聴くことができるようになったベースサウンドとの共通点を数多く見いだすことができます。

複雑で視覚的な美しさを持つ構造の楽器ですが、そこには、現状にとどまらず、弾き手に何かを与え続けようとするChris Benaventeの姿勢を感じます。

NECK 13pc. Maple &Purpleheart
FINGERBOARD Birdseye Maple
BODY Birdseye Maple Top & Back with Ash Core
FINISH Benavente Custom Semi Gloss
PICKUPS Benavente Narrow & Narrow
PREAMP Benavente Original 3 Band EQ