工業製品的な精緻さを楽器に与えることで、失われるものもあるのが通例で、それは”道具”として考えた場合、決して悪い事ではないのですが、個人的には、何とも言い難い物足りなさを感じます。
Sheldon Dingwallの手によって新たに生み出されたこのSuper J5は、大変な驚きと感動に満ちた楽器ですが、特にその、日本のメーカーの十八番である精緻さ以上のものを持っていながら、楽しみや感動を弾き手にもたらす+1を備えており、これは理解の範疇を超えているのと同時に、Dingwallでしか持ち得ていないものかもしれません。
Low-B弦のイントネーションに関しては、ここ数年業界全体でかなり改善していることは事実ですが、その中でも、まだ”差”は存在しており、その中でのTopは、Ken Smithですが、厳密には同じ次元で語る事は出来ませんが、同じものがDingwallにもあります。
Super Jでは、現在MapleとMoradoの2種類の材を指板として用いていますが、以前Rosewoodを使えないかどうかをSheldonに尋ねてみたことがありました。彼の回答は、”実際にそういう楽器を製作し、さらに1年ほど使って問題がないことを確認してからになる”というものであり、実際に楽器を弾いてみますと、こういう”試作品は世に出さない”姿勢が随所に顕われていることが分かります。
右手のフィンガリング、スラップのやりやすさには別格のものがあり、結果、驚くほどイーブンな出音が保証されているのですが、かといって、誰が弾いても同じ音が出てしまうということは無く、タッチのよる表情の加減や、ダイナミクスもはっきりと付ける事が出来ます。
熟練の弾き手によって生み出される正確な音価は、躍動するグルーブにとって非常に重要なものですが、それと同じように、コンプレッサーの力を借りずに整えられた音色というものも、アンサンブルにおいて強力な武器になることは間違いありません。
このスタイルでは、世界最高と断言できる完璧な作りの良さや塗装の美しさを持ちながらも、遊び心や絶妙なほんのわずかの隙を感じさせる、あり得なかった1つの終着点がDingwallです。
NECK | 3pc. Maple w/ Walnut Rainforcement & 5pc. Maple@ Head Stock |
FINGERBOARD | Morado |
BODY | Alder |
COLOR | Bronze Age |
PICKUPS | Dingwall Original |
PREAMP | Aguilar OBP-1 with Active Boost / Passive Cut |
Hardware | Dingwall Original w/ 19mm String Spacing |