#373 1600 (Spalted Maple Top)

この楽器は偶然Jimmyの方から、製作中のBody写真が送られて来てオーダーとなったものです。

Alder Bodyとはにわかに信じ難い、良質のAsh材の楽器に一歩もひけをとらない強力なパンチがあり、それでいて奥深くには、Alderならではの甘く、歌うような琴線に触れる核がある極上のサウンドキャラクターを持っています。

アンプを繋ぐ以前の生音の素晴らしさは言及せずにはいられないもので、弦の振動がとてつもない速度でBodyとNeckに”さらっ”と伝わっていき、それはまさにVintageの本当に良い楽器が持ちうる感覚そのものです。

ここまでの楽器ですと、一体良い楽器には、具体的に何が必要か?という判断基準に逆に迷いを生じてしまいますが、ただ一つ間違いなく言える事は、以前私が所有していた’63を彷彿とさせる重量や出音はもちろん、セットアップ、弾きやすさ等、全てJimmy Coppoloとしては計算づくであろうということで、それは一切の疑念の余地の無いものであり、まさに文字通りの一生ものと呼べる1本です。

オーダーの際に指板の選択肢としては、Rosewood系もこちらとしてはありましたが、Jimmyの強力な薦めによりMaple指板をこの1600は持っており、結果、特にスラップ時にはAlder Bodyの楽器では決して得る事のできない極上のトーンが備わり、それもまさに正解以外の何ものでも無かったと言えます。

古き良き楽器をモチーフにしつつ、改良しているメーカーは数多くありますが、その過程で失っては行けないものにはきっちりと太い杭を打ち込み、経験を上手くエッセンスとして盛り込めているのは、私の知る素晴らしい他の製作家同様、楽器を製作する以前に、完成形が明確にイメージされているということの証明となると思います。

最近では様々な見解のある”鳴る”という表現ですが、一流のリペアマンが言うところのそれがまさにこの1600に存在しています。

NECK 1pc. Hardrock Maple
FINGERBOARD Maple
BODY Spalted Maple Top on Alder
COLOR Natural (Lacquer)
PICKUPS Alleva-Coppolo Homemade
PREAMP Alleva-Coppolo Homemade