PLEK

世界最高水準の調整技術により、楽器のポテンシャルを最大限発揮させるPLEK

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1980年代に独ベルリンでギタリストとして、またインストラクターとしてキャリアを築いていたGerd Ankeは、 自身の楽器への酷いリペアを目の当たりにすることによって、より良い調整とは何かという疑問を持ちます。

ギタリストであれば誰しも夢見る、いかに低い弦高であっても、バズ(ビビリ)が無く、また、快適な弾き心地と優れたプレイアビリティを楽器に与えるにはどうするべきか、それに対するプロフェッショナルな調整技術を生み出すことと、優れたリペアマンの存在を持ってしても、妥協せざるを得ない部分があるという現実は、PLEK開発の原点にもなりました。

この最初の命題に対して、Gerdが見いだした回答は、太さや材質によって異なるそれぞれの弦振動に対しての適切なクリアランスを、カーブの異なる指板上で確保するということ、そして、実際にそれぞれの楽器がどういう状態であるかを正確に計測し、それをもって実際の作業にあたる必要があるということでした。

1990年にMichael Dubackという共同設立者と共に、現地のミュージシャンの楽器を調整する機械を製作するという目的で”PLEKTRON”を発足させます。

数年間の試行錯誤を経て、彼らのコンピューターは、弦を張った状態(弦によるテンションがかかった状態のままで)でのネックと、フレットの状態の正確な計測に成功します。

それらの作業は、ほぼ丸1日を費やすものでしたが、彼らにとって楽器調整・修理技術における革命であると確信できるものでもありました。

社名を”PLEK”に変更して以降、Berlinには、それぞれの楽器に満足するミュージシャンが増え始めることとなり、1998年からは楽器製作/修理、機械、物理等様々なジャンルのエキスパートが集まり、現在の正式名称である”PLEK Gitarrentechnologie GmbH”として世界にその技術の素晴らしさを問うていくことなります。

リリーフと調整の概念

PLEKは、楽器のネック/指板上で起きている全てのことを数値化し、目に見える形で示してくれ、例えばバズの量は全て計算によって導きだしているものの、そこには、世界中で名の知れたリペアマンやミュージシャンがどうして来たか、という回答を付加したものが、楽器を最適化する為の方法論として提示されています。

ここで、最適な擦り合わせに関して考えなくてはならないことがいくつかあります。

a. 全ての楽器の指板はまっすぐではなく、実際に製作されてから時間の経過している楽器のネックには何らかの癖が必らず生じている。

b. 例え、同じ状態の同じ楽器があったとしても、ユーザーによって好まれる弦の材質やゲージは異なる。

c. ネックは反っているからこそ弦が振動するが、この反りの量は一定ではない。

d. ピッキングの強さや、タッチの加減によって弦の振幅量はもちろん、それに付随するネックの微細な動きは異なる。

e. ユーザーそれぞれにとって、ネックの反り具合の弦高の好みには差がある。

f. 全ての楽器が弾き手が望むセットアップを同じ形で受け入れることが可能とは限らない。

g. 弦を外すことによるネックの変化をどのように計算して、修理を行うか?

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PLEKは、弦を張った状態で、楽器に起きている全ての事象をデータ化するため、それらの条件に対するベストな擦り合わせを行いますので、例えば、ネックに癖が出ていたりする場合や、変則チューニングでも、一切の問題なく、最適な状態を創出することが可能になっています。

まっすぐなネックに対して、フレットの頂点で直線を出すという調整をすることは機械ですから決して難しくありませんが、バズ(ビビリ)の量は、ネックのリリーフ(反りの)によって決定される為、表面的に完全な状態ではあっても、バズの回避という点では、依然として楽器、ならびに弾き手にとっては不完全なものとなります。

その為、PLEKでは、それぞれの弦ごとに最適なクリアランスを検出し、実際にそれぞれのフレットの高さを微妙に変化させつつ調整していきますが、これは人の手で行おうとすると気の遠くなる、膨大な時間と労力が必要でしょう。


PLEKでは一体何ができるのか?

PLEK SCAN :

PLEKの最大の特徴の一つがこのスキャン機能です。PLEKは、主に以下のようなことを計測します。

  1. Neck、およびTruss Rodの状態
  2. Fretの高さと形状
  3. Neckのリリーフ(反り)の具合
  4. バズ(ビビリ)の発生量
  5. ナット、およびブリッジサドルの高さ
  6. フレット位置、フレット浮きなどの異常
  7. スケール、および弦間
  8. 張られている弦の振幅量
  9. 弦の振動によって生じるネックへの変化

module_1PLEKをアメリカで始めて導入した、アメリカで最も名高いリペアマンの一人である、Joe Glaser氏が、すでに広く知られた技術をもっているにも関わらず大きな投資を行った大きな理由にこのPLEKのスキャン機能の存在をあげていますが、まさにその通りで、仮にPLEKに擦り合わせの機能がなかったとしても、ネックとフレットの状態をきわめて正確に把握できることは、修理作業においてこれ以上に強力な武器はありません。

フレットの擦り合わせの主な理由は、指板/ネックの状態悪化や、フレットの摩耗によって生じる不必要なバズの除去と、快適なプレイアビリティの確保、その楽器が本来持ちうるポテンシャルの解放にあるわけですが、その為にどうするべきか、またユーザーの意見を取り込んだ上での適切な対処方法は何か、という疑問に対する回答が一切の疑いなく明示されるという状態を想像してみてください。

THE VIRTUAL FRET DRESS :

PLEKの次の大きな特徴がこのVirtual Fret Dressです。

スキャンによって検出された様々な情報を統合し、どうすればバズを取り除くことができるのか、また、どの程度擦り合わせを行う必要があるかを、実際の作業前に決定することができます。

この機能によって、例えば、人間の手による擦り合わせでは、そのリペアマンの感覚と経験にゆだねられるフレットを削る量、場所などを、全て数値で確実なものとして決定することができます。

通常のリペアショップでは、そのリペアマンの技量によってその内容が左右されるだけでなく、癖が出るため、ユーザーの理想と合致しない場合も出てくる可能性があります。

しかしPLEKによる作業は、ユーザーの理想とする弦高を基準にベストな設定と擦り合わせを行うため、その内容は確実にユーザーの理想の延長にあるものとなるだけでなく、ユーザーもリペアマンと一緒に目で見ることができます。

PROCESSING :

module_2上記のVirtual Fret Dressによって、作業の内容を決めたあとは、実際の擦り合わせ作業に入ります。

PLEKでは、事前に決定した通りの作業を正確かつ、短時間で行っていきますが(約7-8分で終了します)、その作業内容にも従来の人の手によるものと大きな違いがあります。

それは、今までであれば、余裕を持たせた調整ということを考えると、本来削り取ってしまう必要の無いフレットまで削る必要がありましたが、PLEKでは、弾き手にとってのフレットは、コストそのもの、言うなればFret = Moneyとの考えに基づき、削減量を最大限抑えることが可能になっています。

このことは、フレットの寿命を飛躍的にのばすことになり、結果として楽器自体への悪影響をも排除できます。

また、PLEKでは、擦り合わせのみならず、フレットの整形も同時に行ってくれる為、非常に均質で美しい仕上がりになります。

一般的には、擦り合わせの作業では、Bolt-Onの楽器ではネックを取り外して行ったり、Set-NeckやNeck-thruの楽器では費用が高くなることもありますが、PLEKではそういったことも一切無く、弦を張った状態でどうあるのか?という情報を元に全ての作業を行っていきます。

Making Nut :

module_5PLEKでは、Nutの製作も行え、楽器がすでに持っているものと同じ仕様のものを製作することはもちろん、弦間や、形状、弦溝の角度等に関しても自由な設定を可能にしています。

Nutの高さや、切り方は楽器そのものの良さやクオリティに直結する非常に重要な要素ですが、それぞれに関しても、PLEKはベストなものを自動で正確に製作してくれます(PLEKは、スキャン時に、ユーザーが設定した弦高に対する最適なナットの高さとブリッジの高さを明示し、そのデーターを反映することももちろん可能です)。

Data Base :

PLEKでは、スキャンや擦り合わせを行った全ての楽器をデータベース化します。

そのため、一度PLEKされた楽器であれば、常にプレイアビリティを同じ状態に戻すことができ(フレットがすり減った場合でも、それを考慮した同じ状態にすることができます)、例えば遠方のお客様の楽器を修理させていただいた場合でも、感覚的なものではなく、数字としてインストラクションさせていただくことが可能になります。

スキャン機能とあわせることにより、例えば、どの程度ネックが動いているのか、トラスロッドによるネックの変化(トラスロッドの利き易さや、トラルロッドを調整することによって生じる指板の変化、その特性)等、その全てがデータとして残ります。

このことにより、実際にすりあわせ作業を行わなくとも、ユーザーは、自身の好みのセットアップや状態を数字で知ることができ、お気に入りの1本があれば、それを他の楽器に転用することも可能ですし、元の状態との比較も容易です。

また、PLEKは、誰もが知っている一流ギターメーカーや、リペアマンにも導入されていますので、それらのデータがドイツにて蓄積され、より優れた形で随時反映されていきます。

COST & TIME :

擦り合わせという修理作業自体にはそれほど時間はかからないものの、実際に弦を張った状態などを慎重にチェックしながら行うことを考えると、かなり時間がかかり、また預かり修理になってしまうということが一般的でした。

しかし、PLEKによって、フレットの削減量を飛躍的に減らし、また修理時間を大幅に短縮し、その作業内容は一縷の隙もない程正確なものとなり、今まで当たり前としていたものを大きく変えることに成功しました。

PLEKは構想から形になるまでの年月はかかっていますが、若い会社と言えます。しかし、すでに十分な実績を作っていることは間違い無く、それはPLEKを一度でも楽器に施していただければ

PERFORMANCE :

PLEK(弊社で導入しているPLEK STATION)による作業の手順と必要時間の目安です(楽器の形状や状態、希望のセットアップによって、時間の方は前後いたします)。

Processing Times 単位(分:秒)
楽器の設置 1:00
データ入力 2:00
仮スキャン 0:40
弦間、ネック幅、弦高のスキャン 2:10
フレットスキャン 1:20
TOTAL PREPARATION & SCANNING
約7-8分かけて、ネック上で何が起きているかを検出し、ご報告させていただきます。また同時に、どのようなセットアップが良いかを目安としてお知らせいたします。
トラスロッド調整 2:20
Virtual Fret Dressによる調整 1:00 – 3:00
弦を外し準備します 1:00 – 2:00
弦の無い状態での再スキャン 1:20
フレットカット 8:00
TOTAL FRETBOARD WORK 
この作業を行う過程で、どういう作業内容が必要か、またどういう事が可能になるか、その結果などをお客様にお伝えし、ディスカッションを経て実際の擦り合わせを行います。
弦を張って、再度スキャンを行います。 2:30
再検査 1:20
楽器をPLEKより取り出します。 0:15
FINAL SCAN FOR QUALITY CONTROL 
最後に、もう1度作業内容が適切に行われたか、作業の前後のデーター比較を行い、確実な履行を確認します。

お客様にお渡しする前に、フレットと指板のクリーニング、Nut/Bridge、Pickupsの高さ調整を行わせていただきます。

PLEKを導入している企業はこちらでご覧頂けます。≫GO


PLEKのコストに関して

調整、および擦り合わせの場合 : ¥13,000

PLEKをご依頼いただく際に必要なもの。

  1. 交換用弦 (交換用弦はなくとも構いませんが、できるだけ新しい方が適切な結果を得ることができます)
  2. トラスロッド、ブリッジサドル調整用レンチ (弊社でかなりの種類のものを用意しておりますが、ご用意いただいた方が時間が短縮されます。)
  3. フレットの種類(StainlessかNickel)をお知らせ下さい。

スキャン/調整のみ場合 : ¥2,500

スキャンし、問題点をトラスロッド、ナットの高さ、ブリッジの高さ調整のみで、ベストな状態にします(スキャン後に擦り合わせをご希望の場合は、¥13,650に含まれます)。

Nut作成 : ¥5,000

牛骨によるNut作成を行います(Brass、Ebonyなどその他の素材の場合は別途ご相談下さい)。PLEKによって製作されるNutは、弦間設定も正確かつ自由に行えます(Side by Side、Center to Center、PLEKでのみ作成可能なHybridからお選べいただけます)。

指板修正(For Fretless) : ¥15,000

PLEKにより指板修正を行い、最適なリリーフを指板に与えます。指板修正は、非可逆的作業の最たるものですが、PLEKにより、フレット同様、最小限に修正幅を抑え、最大限の効果をうることができます。

Fretless加工: ¥20,000~

お持ちの楽器をFretless加工します(フレットラインには、通常Mapleや、Walnutを用います)。Line無しのFretlessにFret Lineを入れることも可能です。

Fretted加工: ¥40,000~

お持ちのFretlessをFret付き楽器へ加工します(フレットのご希望など詳細をお伺いいたします)。PLEKによるフレットの溝切りは、精度が非常に高く、フレット音痴の心配などとは無縁の大変安心できる作業になっています(リフレットの際にもPLEKを用います)。

Dot入れ加工: ¥800(1カ所)~

お持ちの楽器にDot入れの修理を行います(Block Inlayや、Dotの種類やサイズに関しては複数選択肢がございますので(Mother of Pearl, Abalone, Goldern Mother of Pearl)、ご相談下さい)。指板の種類によっては難しい場合もございますので、ご相談下さい。

*価格は税別表記となっております。
*送料は別途お客様負担でおねがいしております。

尚、PLEKの修理内容以外で付随して必要な修理がある場合には擦り合わせの場合は、フレット浮きなど)、別途修理費がかかる場合がございますので、その場合にはこちらよりお伝えさせていただきます。

PLEKは、スケール、弦の数等、どのようなも楽器でも可能ですが(ナイロン弦ギター、30フレットや36インチスケール、9弦ベースなども可能です) 、ご依頼の前に一度メールかお電話にてお問い合わせ頂けましたら幸いです。

この他一般的な修理(リフレット、配線関係)等も現在対応しておりますので、ご相談下さい。

Refret : ¥40,000(PLEK調整費用込み)〜

PLEKの測定結果を用いて、指板修正の必要性、指板Rと好みの弦高とのバランスを考慮してRefretを行います。Refret前の指板状態や、弦高などが1/1000mm単位で記録されておりますので、元々の状態を常時把握しながら、楽器の元々の状態に極力影響がないような作業も可能です。

Stainless Fretの種類も多数ございますので、詳細はご相談下さい(市販されているフレットでは、おおよそ1.30-1.40mm程度の高さが限界ですが、それ以上の高さに対応できるフレットも用意しております)。

2011年9月10日に通算1000本目の作業をさせていただきました。以下はその所感になります。

本日無事に1000本目をPLEKさせていただきました(1000本目は、某楽器店様よりお送りいただいた中古のKen Smith BSR5Jでした)。

2009年の12/28が最初の稼働だったと思いますが、ドイツのPLEK本社の予想(導入されたビジネスプラン)よりも4ヶ月近く前倒しで、計画を達成させていただくことができました。

PLEKの導入も、会社の存亡を左右するほどの投資であるわけですし(2009年の状況を考えれば、完全な賭けでした)、それが継続させていただけているのは、やはり周りの方々のお陰に他ならず、大変有り難く感じています。

ハイエンド楽器、という言葉は、すでに当たり前になりすぎていて、陳腐な響きとも言えます。その定義としては、30万円~50万円以上のものを大凡さしていると思いますが、このクラスの楽器を弾かれた方は、皆様”良いですね”とおっしゃってくださいます。ただし、価格を考えれば、良くて当たり前ということも事実です。

例えば楽器店で試奏をされた際に感じた違和感やリクエストに対して、お店の方に”こんなものですよ”と説明された場合でも、100%、もしくはそれに類するポテンシャルが発揮された状態と、調整の不備等により、完全でない状態に対するものでは、180度意味が変わってきます。

前者に対しての違和感は、好みでない、ということで、その楽器の購入は見送られるべきでしょうし、その方が”より良い楽器選び”への近道になりますので、正当と言えます(結果として浮いたお金は、良いライブを見にいったりなど、より良い音楽に触れる為に回されるべきでしょう)。ただし、後者であれば、買ってからの調整で何とかなるだろうと思いつつも何ともならず、手放すまでの時間は早くなるでしょうし、大きな出費をしてくださったお客様、また楽器にとっても可哀想な結果になります。

代理店と呼ばれる存在の姿勢は様々で、その好みで一律調整というところもあれば、全く何もしないという方針のところもあり、そのいずれも誤りではありません(考え方の問題だけといえるでしょう)。

SLEEK ELITEでは、PLEKでスキャン/調整をさせていただく前に、それこそ10分でも楽器を触ってみれば、その楽器がどのように作られて来たか、また、どういう弾き手を対象にしているかは容易に分かりますので(もちろん製作者に確認も出来ます)、それに対して輸送などで生じた狂いを補正してあげることで、より弾き手と製作者の距離を縮めることができると考えています(通常であれば、代理店、販売店という2ステップが存在しますので、その中で乖離が起こりうる可能性が高くなります)。

購入の動機は音やデザイン、バランスなど、色々あると思いますが、それぞれのメーカーが培って来た名声の影には独自の”セットアップ・調整”が、顕在しているしていないに関わらず、必ず存在しています。

現在、海外からの輸入は非常に容易であり、代理店業を営んでいる人間が言うのもなんですが、すでに代理店は不要の時代であると、1999年のSLEEK ELITE設立当初から考えています。ただ、だからこそ逆にできることもあり、そういう時代で尚、必要とされる存在でなくてはなりません。

高いから良いのではなく、良いからこそ値段も相応という正当な理由が存在し続ける、これからも本当の意味でのハイエンド楽器を送りださせていただけるよう、また、お客様、メーカー、販売店だけでなく、その楽器を用いて生み出される芸術に触れるオーディエンス、全員が幸せになれるような環境構築に貢献させていただけるよう努めさせていただきます。

重ねてになりますが、多くの方々のおかげで現在の状況が生み出されている、この事実は何があっても変わりませんので、改めてお礼の方申し上げたく存じます。