Ken Smith Basses?

25年以上一流の演奏家の為にベースを作り続け、また名ビルダーを輩出してきたケンスミスはまさしくトップブランドの代名詞で、そこには多弦ベースのパイオニアとして膨大な時間をかけて生み出したノウハウと、欧米のトッププロの経験によるアイディアが集約されています。

以下にその一部をご紹介させていただきますので、その異常なまでのこだわりと完成度の高さを感じていただければと思います(下記に記させていただくことは、あくまでKen Smithという楽器におけるものですので、他の楽器にも当てはまるとは限りません)。

Bolt-on及びNeck-thruについて

一般的に、Neck-thruはボディとネックが一体化している為、音の芯の太さや、サスティーンなどがBolt-onのそれを上回っていると言われ、ヒールレスデザインによりハイポジションのプレイに関しても負担が少ないことが、また逆にBolt-onは、シャープでエッジの効いた、パンチのあるサウンドが特徴、と言われていますが、Ken Smithの楽器に関しては、前者についてはHeel Cap方式を採用したDove Tail構造の為Bolt-onのような適度なアタック感を持ち、後者についてもNeck-thruの長いサスティーンと抜群のプレイアビリティを有している為、双方のモデルに上記のような一般的な差異は見受けられず、楽器として非常に高いクオリティを誇った上での違いが感じられるでしょう。

それぞれの構造の違いがサウンドに与える影響は、Neck-thru構造がコンプレスされたまとまりのある音色を生み出すのに対し、Bolt-on構造ではオープンなサウンドを得ることが出来ます。

いずれのモデルであっても、35”スケールにすることなく、全部の弦が均一に撥音するバランスと明瞭な音程感を併せ持ち、34”スケールの楽器としては、他に類を見ない優れたLow-Bのトーンが特徴です。また、適度なテンションによるタイトなアタックと、伸びのある美しい倍音は、ライブやスタジオでも埋もれることの無い鮮明な音の輪郭や太さを生み出します。

Laminated Neckについて

Ken Smithでは、芸術的とも言える独特のジョイント方式によるヘッドストックや、また各弦のテンションの違いから来る捻れや反りなどの問題点を、3枚~7枚のHardrock Mapleや、その他のExotic Woodを組み合わせ解消しており、そこに使用される材は全て最低2年から長いもので20年以上もの期間、天然乾燥のみを施された柾目材のみを使用していることが特徴です。

また上位モデルにつきましては、Graphiteにより補強されたネックが採用され、相当急激な環境の変化にも耐えうる構造をとっています。Ken Smith氏はあくまで自然乾燥によって生まれた材自体の強さこそが大切なのであって、Truss RodやGraphiteは保険と語っておりますが、Ken Smithでは、他のギターメーカーと異なり、スペースシャトルや戦闘機に採用されるクオリティのものを使用しています。

5ピース以上のネックには、化粧材として、Bubinga, Morado, Shedua等も使用しますが、それらも単なる化粧材として存在するのではなく、ネックの硬度や剛性の向上に貢献をしています。

ネックの剛性の高さは、安定したテンションとバランスを楽器に与え、デッドスポットやLow-Bの音詰まりなどの解消に必要不可欠なものです。それゆえ従来課題とされていたLow-Bの撥音に関しても全く問題の無い、スピードのある音色が得られるようになっています。

ネックのピース数がサウンドに与える影響としましては、ピース数が多い方がサウンドは全体的に明るいものになると言えます。

指板について

Ken Smithの指板材にはMorado(Pau Ferro)、Macassar Ebonyの2種類が用意されており、こちらもネック材同様、通常の楽器メーカーでは考えられないほど長期間自然乾燥を施された柾目材のみを使用しています。

それぞれの材の傾向として、Moradoの方がより強力なMid Rangeを、Macassar Ebonyの方が均一でレンジの広いサウンドを持ちます。

Bodyについて

Ken Smithでは、Solid(単板)、Top & Back(2pc.)、Top & Back w/Core(3pc.)、Veneer(化粧材)を挟み込んだ5pc.もしくは7pc.という構造を持っており、それらをCenter Block(Neck-thru時にはNeck及び、Heel Cap)と組み合わせて楽器を製作していきます。

Body Wing部は、2pc.であれば、Tiger Maple, Quilted Maple, Walnutの中からBack材の選択可能であり、3pc.以上であれば、Tiger Maple, Quilted Maple, Walnut, Mahogany, Avodire’, American Cherry等の中からCore材の選択が可能になります。

Exotic Woodの使用やLaminated Body構造の採用しプロユースの楽器を長年作り続けているKen Smithでは、見た目にも美しく良質な音響特性にすぐれた希少なTop材を使用することが可能ですが、それらのいずれも凹凸や傷の無いものに限って使用し、楽器としてのクオリティを著しく引き上げることに成功しています(傷や凹みがある材は、通常エポキシ等で埋めなくてはならず、それが楽器のサウンドに不必要な要素を生じさせます)。

近年無数の新しいExotic WoodがTop材として使用され始めていますが、Ken Smithは、昔からTone Woodとして知られている、MapleやWalnut、Macassar Ebony, Cocobolo, Morado, Imbuia, Shedua, Bubinga, Lacewood等のみのこだわって使用しており、これも確実に完璧な楽器を製作する為の一つの要因となっています。

Solid Bodyでは、材の持つ特性そのものを素直に活かした、また、Laminated Bodyでは、上質な木材を組み合わせた楽器ならではの味わい深くオリジナリティに溢れたサウンドを持ちます。それにより、ヴィンテージ楽器のような温かみのあるもの、上品でハイファイなもの等、幅広く現場で使える音色を作り出すことを可能にしています。

Ken Smithは、世界的にも屈指のウッドコレクターであり、自社で数十年先に製作する楽器の為の材を保有するだけでなく、名の知れた一流の楽器メーカーにその材を卸していることでも知られています。また、すでに製材されたものを使用している一般的なギターメーカーと異なり丸太の状態で材を仕入れ・加工していることも大きな特徴です。それゆえ、Ken Smithで使用されるものは、真の意味で厳選された最上級の材であると言えるでしょう。

Ken Smithという楽器の面白いところであり、もっとも評価されるべきは、多弦ベースが存在しない時代に、膨大な試行錯誤の上に設計された、優れた自社製のパーツを使用しているにも関わらず、その音色の良さは、全て材の良さに帰しているということでしょう。また、それらを組み合わせるにあたっても、楽器の製作を開始する前に、その楽器が持つべきサウンドをイメージして、ネック材、指板材、Top材の木目等が決定される、ということです。

見た目だけでなく、Ken Smith氏のNYブロードウェイで活躍したスタジオミュージシャンとしての経験と、数多くの優れたミュージシャンのフィードバックが集約された、抜群のプレイアビリティと全く無駄の無い音響特性を考慮した構造が、非常にバランスのとれた、演奏家が必要とするファクターのみを備えた楽器を製作することを可能にしています。

Finishについて

Ken Smithには、20種類を超える複数のオイルを独自の方法で編み出した技法で使用するオイルフィニッシュ(楽器の材ごとに使用するものを変えていくという非常に手の込んだ手法をとっています)と、薄さと硬度を併せ持ったラッカーフィニッシュ(こちらもオリジナルの方法によって生成されたラッカーを使用しています)の2種類があります。

いづれの手法も時間や工程短縮の為の目止め材やシーラー等を一切使用せず、熟練の塗装職人が、丹念に時間をかけて昔ながらの手作業で1本1本仕上げて行きます。これがKen Smithという楽器を長く使用する上で美しさを醸し出し、そのサウンドも熟成されたものへと変化させる要因となっています。

手間や時間をかけたものほど長い間その良さを保って行くことができる、という好例で、中近世のヨーロッパの美しい弦楽器を彷彿させる芸術的な、一生弾くことの出来る本物の楽器に相応しい質感を楽器に与えます。

Hardwareについて

色は、Gold, Black, Chromeの3種類から選択可能です。Ken Smithは、ハンドメイドで加工されたスキャロップドナット、ブラスの削り出しによるブリッジ、Gotoh製ペグなど、考えうる最高のものを使用し、微細な弦振動や、演奏家のニュアンスの変化を確実に再生することを可能にしています。

またそれらは、Ken Smith特有の美しく深みのあるサウンドの生成に貢献し、状況や環境に左右されない間違いの無いサウンドを生み出します。

PickupとPreampについて

Ken Smithでは、BSR-J Modelに搭載されているJJ、及びHB Soapbarの2種類のオリジナルピックアップがあります。どちらもオールラウンドに使用可能な音色を持ちますが、シングルコイルのクリアーさを持ったサウンドは前者が、深みと分厚さ、コントラバスのような色気ある美しいサウンドを後者は持っています。

Preampもオリジナルで、2004年より従来まで使用されていた9v仕様に変わり、新たに18v仕様のものが採用されるようになりました。後者の最大の特徴は、Bass, Middle, Trebleの各帯域に対して4段階の設定変更が行えるようになっており、それぞれの楽器の持っている長所を強化するか、また不足していると思われる領域を補佐することが可能になっています(基本的には変更する必要は無いものですが、ご使用いただく状況によって変更できる、ということは非常に大きな強みになります)。

いづれもKen Smith独自のものであり、既製品を使っているわけではなく、Ken Smithという楽器の特性を最大限引き出すことを目的として設計された大変優れたものです。